Twilio SIGNAL 2021 〜 基調講演の振り返り

SIGNAL 2021 カンファレンスのブログシリーズ、第2回目となります。

前回、シリーズ 第1回目のブログ記事の中で、カンファレンスイベント全体に関する超速報をお伝えいたしました。今回はシリーズの第2回目として、初日に行われた基調講演についての振り返り(深堀り)を行います。
先ず、今回のSIGNAL 2021を通しての大きなハイライトは、

顧客エンゲージメントに関連する「データ」への意識
データを活用し「リアルタイム」に顧客エンゲージメントを…


This content originally appeared on Twilio Blog and was authored by Hiroto Masaki

SIGNAL 2021 カンファレンスのブログシリーズ、第2回目となります。

前回、シリーズ 第1回目のブログ記事の中で、カンファレンスイベント全体に関する超速報をお伝えいたしました。今回はシリーズの第2回目として、初日に行われた基調講演についての振り返り(深堀り)を行います。

先ず、今回のSIGNAL 2021を通しての大きなハイライトは、

  • 顧客エンゲージメントに関連する「データ」への意識
  • データを活用し「リアルタイム」に顧客エンゲージメントを図ること
  • 提供される顧客エンゲージメントを「パーソナライズ」が利いたものにすること

であったと感じており、実際に基調講演にご登壇いただいたお客様・パートナー様・弊社リーダーシップからも、折に触れてコメントされたキーワードでした。本稿では以下、幾つかのブロックに分けて振り返りを行いますが、これらのキーワードを思い返しながらお読みいただければと思います。

signal2021-data-personalize-realtime-jp

Twilioでは、コミュニケーションあるいは顧客エンゲージメントに関連するAPIサービスやSaaSサービスを提供しています。このうち、先ずメッセージング系サービスの文脈では、基調講演において以下のアナウンスがありました。

Google Business Messages(本稿では以下GBMと略すことがあります)- Google Business Messagesは、Google検索やGoogle Map検索で企業・ブランドを検索すると、検索結果画面上のインタフェースでそのブランドのスタッフとチャットを行うことのできる機能です。弊社では、Twilio Conversations APIで対応するメッセージングチャネルとしてGoogle Business Messages対応(パイロットリリース)を開始いたしました。

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SIGNAL終了直後に開催したアフターパーティー(ウェビナー形式)の中で、ご参加いただいた皆さまに電子的なアンケートにご協力をいただき、回答いただいた数十人のうち20%強の方が「GBMを知ってる」と返答され、筆者の予想を上回る認知度だったのを思い返しています。また弊社営業陣からも「GBMにご興味のある担当のお客様がいらっしゃる」との声を早速もらい、こちらもちょっとした驚きでした。

ServiceNow社とのパートナーシップ - ServiceNow社のサービス Messaging Service(プレスリリース)がそのバックエンドでTwilio Messagingを活用し、ServiceNowを利用した企業側スタッフとお客様とのやり取りにおいてSMSやWhatsApp等のメッセージングを今までよりも気軽に利用することが可能となります。基調講演においてServiceNow社CEOのBill氏がライブで登壇してくださり、弊社CEOのJeffとともにこのアナウンスを行いました。

signal2021-svcnow-ceo-jp

MessagingX - この他、メッセージコンテンツをチャネル横断で統一的に扱えるようにするための支援機能であるContent API(パイロットリリース)、弊社メッセージングインフラの内部運用にAI・機械学習テクノロジーを活用し品質・コストの最適化を数十秒毎に行っていることなど各種のアナウンスがありました。これら新規技術開発や運用卓越性の革新が継続的に行われることの裏付けから「今後10年を見通して安心して投資・ご利用いただけるインフラ&サービス」ということで、包括的に「MessagingX」というマーケティングローンチを行いました。

次にコンタクトセンター向けサービスTwilio Flexの文脈では、以下のアナウンスがありました。

Eメールチャネルへのネイティブ対応 - Twilio Flexは現時点でボイス、SMS、ウェブチャットの顧客接点チャネルにネイティブに対応していますが、特にメッセージング系チャネルについて内部的な実装をConversations APIに置き換えることで、Single (One) APIでWhatsAppやFacebook MessengerやGoogle Business Messageなどにも対応していけるようになります(パブリックベータリリース)。「内部的」と言いましたが、柔軟にカスタマイズできる特徴をもつFlexでは、プラグインからFlexのデータにアクセスするための実装がシンプルになりそうです。またメッセージングそのものではありませんが、この流れの中でEメールチャネルへのネイティブ対応もプライベートベータリリースとして開始しており、One (Threaded) Conversationを地で行くことのできるFlexに仕上がりつつあるのを実感しています。

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またTwilio Flexのオープンな側面を活用いただき、マーケティングオートメーション(MA)、CRM、販売時点情報管理(PoS)等とデータ連携することでお客様像を詳らかにし、お客様をよく「知った」上で、企業側スタッフが最も効果的なお客様対応を取ることが可能となります。さらにこのためのデータソースとして、弊社のカスタマーデータプラットフォームTwilio Segmentを活用(ネイティブ連携)する将来構想*もあり、企業の手助けを必要としているお客様を「One View of a Customer」として捉えることがますます容易になっていくものと確信しています。(* 現在でもカスタムシステム連携が可能です。)

Flex ONE - 上記のようにTwilio Flexプラットフォームを「ONE」を強く意識して改めて整備しつつあること、今後の技術革新もこの意識の下に行っていくことをふまえ、基調講演の中で「Flex ONE」というマーケティングローンチを行いました。

最後に、The Trevor ProjectのCEO Amit Paley氏が登壇し、LGBTQの若者向けの自殺防止プロジェクトにおいて、i) Twilio Flexのデジタルチャネル対応が、ii) Flexのスピードの側面(デジタルチャネル上の会話が遅滞なく進んでいく意味でのスピード)が、iii) Flexの信頼性の側面がどのように活用されたかをお話しいただきました。自殺防止という元々センシティブな業務であるなか、一刻の猶予も許されない極めてリスクの高い状況においてメッセージが届かない等のミスは許されませんし、メッセージのやり取りが1秒でも速く行えることは正確な状況判断に、そして危機的な状況を的確に処理できることにつながります。Flexが社会的使命においても貢献できていること、そして弊社CEOもコメントしていましたが、ヒューマンエンゲージメントにお役立ていただけていることに深く感銘をうけました。

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メッセージング系サービス、コンタクトセンター系サービスと基調講演を振り返ってきましたが、その他のアナウンスのなかでハイライトすべき項目の1つはRegional Twilioイニシアチブでしょう。Regional Twilio は北米以外の市場に対する弊社の注視を現すものです。現状でもTwilioの各種サービスで東京リージョンのインフラを利用中であり、例えば音声通話のSIPレジストレーション処理や、通話録音のSIPREC処理などのサービス機能で、最近でもローカル性(Tokyoリージョン利用)を着実に実現しているなか、より完全なローカル性を包括的・普遍的に追求するものです。今回アナウンスしたRegional Twilioの実現は具体的にはシドニーおよびアイルランドリージョンから開始しており、すべての主要Twilioサービスを横断した形での実現を狙います。(東京リージョンの時期的な見通しについては、もう少しお時間をください。)

さて、次にお伝えするのはTwilio Live(正式リリース)です。シリーズ第1弾ブログ(超速報)でもお伝えしましたが、ポッドキャスト、フィットネスクラス、オークション、全社会議などをオーディオあるいはビデオでストリーミングするシナリオでお使いいただけます。既存サービスであるTwilio Videoをベースとしつつ、多数の受動的な聴衆にストリーミングする機構を新たに開発し、デベロッパー向けにAPIサービスとして提供いたしました。ファシリテーターが聴衆の一人をスピーカー格に昇格させQ&Aを行うといったシーンも実現いただけます。

今回SIGNALでは、ブレークアウト講演のスピーカーの方々に(ご都合のつく時間帯に)聴衆の方とのディスカッションの場を設けていただきましたが(🙇)、このオフィスアワーと呼ばれる試みでは実はバックエンドでTwilio Liveが利用されていました。

signal2021-tw-live-jp

また今回イベント時に正式リリースとなりましたが、実は正式リリース前の夏場から国内のパートナー様にベータプログラムにご参加いただき、パートナー様の提供されるソフトウェアサービスの機能強化にお役立ていただいております。皆さんの周りにも、適用可能な利用シナリオがきっとあると思っています!

さらに、基調講演の中盤において Twilio Intelligence for Voice というAI系プロダクト(パイロットリリース)をアナウンスいたしました。Twilio Intelligence for Voiceは、音声の分析・自動化系サービスです。通話をリアルタイムもしくはレコーディングをもとに音声認識、文字起こしします。加えて、例えば「サービス解約を匂わす発言」「製品改善のヒントになりそうな発言」「競合他社の優位な価格条件への言及」などをその意味的な構造と共に抽出しつつ、抽出イベントにアクション(例: 翻意を促すSMSメッセージの自動送信)を適用します。米国英語でスタートしますので、日本語対応までにお時間をいただかなくてはなりませんが、コミュニケーションの中身データにまでデータの意識を持っていき、さらにAI・機械学習技術を適用する施策の第一歩として筆者自身も興味を持ちました。プロダクト担当とは徐々に会話を始めており、日本語対応のタイムラインを少しでも早めるために可能なアプローチを模索したいと思っています。(※以下グラフィックはイメージです。)

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ここまでお読みいただき、ありがとうございます。あと2つ程のトピックを共有いたします。

基調講演の最終段階でTwilio Engage(パイロットリリース)に関するアナウンスがありました。Twilio EngageはカスタマーデータプラットフォームであるTwilio Segmentをベースとしたプロダクトです。例えばカートのチェックアウトプロセスを開始したお客様が「15分経過しても最終のCheckoutボタンを押してくださらない」といった契機を捉え、次回利用可能なプロモコードをSMS送信して購入の背中押しをするといったことが可能となります。カスタマーデータプラットフォームの従来のデータ利用は、やもすると、翌日や翌週といったタイムラグのある時間軸で、またユースケース的にもコンテンツ管理(CMS)や広告といったものが多かったと思いますが、せっかく得られたデータをリアルタイムに活用する、またお客様にエンゲージメントを図るユースケースにも拡大する点に特徴があると考えています。

カスタマーデータプラットフォームと聞き、それ程のスケールの施策は自社では走らせていないと思われる担当者様も居られるでしょう。実際には、Twilio Engageを直接利用しなくとも、Twilio Flexの箇所で上述したように、マーケティングオートメーション(MA)、CRM、販売時点情報管理(PoS)等とデータ連携することでお客様像を詳らかにし、お客様をよく「知った」上で、ブランド側スタッフが最も効果的なお客様対応を取ることは可能です。Twilio Engageをご検討いただければ理想ですが(😁)、ブランドの皆さまが「お客様をよく知り、その上で最大限効果的な関わりをもつ」サイクルを回されるとすれば、それは顧客エンゲージメントの領域に存在する当社にとっての喜びでもあります。

最後にTwilio CEP (Customer Engagement Platform)について触れておきたいと思います。CEP自体は新たなコンセプトでも何でもありません。皆さんもお聞きになったことがあるでしょうし、既に自社施策の計画・実践における重要な視点として捉えてらっしゃるかもしれません。今回、従来からのCEPと少し異なるのは、お客様に対して展開するキャンペーン、お客様との対話、お客様とのトランザクションを局所的に捉えるだけでなく、お客様について知り得ているすべてのデータ(しかもファーストパーティーデータ)をフル活用する点です。「お客様側から見たブランド」の視点をブランド側が予め強く意識したうえで、より包括的な視点からの顧客エンゲージメントを展開する、また皆さまブランド・企業がそういった顧客エンゲージメントの展開をエフォートレスに行えるようなプラットフォームサービスを当社から提供する、こういった当社の意識の下に我々としてあらためて再定義したCEPとなります。

CEPは特定のプロダクトアナウンスではありませんが、顧客エンゲージメントの領域における我々の熱い思いを皆さまにクラウドサービスとしてお届けする際のレンズ役であり、当社サービスのアーキテクチャでもあり、魂であるとも言えます。その意味で基調講演を当社CEOのジェフが以下のフレーズで締めくくっていたことが印象的でした。

signal2021-own-cep-jp

本ブログをお読みいただき、ありがとうございました。次回第3回目は、「SIGNAL TV, Superclassなど」開発者を強く意識してお届けしたSIGNALコンテンツに焦点をあてる予定です。また次回、第3回にてお会いしましょう!


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