This content originally appeared on Twilio Blog and was authored by Doug Roberge
この記事は、プロダクトマーケティング担当のDoug Robergeが、こちら(英語)で執筆した記事を日本語化したものです。
開発者であれば、これまでのキャリアの中で、何十回とは言わないまでも、少なくとも一度は「ビルドするか購入するか」という問題に取り組んだことがあるでしょう。しかし、これはどちらかの選択肢を排他的に選択しないといけないという訳でもありません。
開発者のジレンマ: スクラッチビルド? 購入手配? それとも両方の要素?
現在、企業がソフトウェアを導入・展開する方法が根本的に変わってきています。
その始まりを辿ると、“Build It Yourself”の時代に行き着きます。社内のITチームは、技術的な課題を解決する責任がありました。ゼロから構築しなければならず、コストがかかり、時間がかかり、脆いものでした。しかしそれは、ビジネス上の特定の課題を解決するためにコードの一行一行が書かれているので、ニーズや要求に合わせたソリューションが提供されることを意味します。
クラウドコンピューティングやSaaSアプリケーションの台頭により、企業は問題を解決するために既製の技術を購入できるようになりました。しかし、これらのツールはときに柔軟性に欠け、購入した企業のニーズを十分に満たしていないことが少なくありませんでした。さらに、社内の開発者は、増え続けるサードパーティ製アプリケーションの保守運用に追われ、忙しさのあまり他の仕事に手が回らなくなっていました。
現在では、お客様がインフラの「構成要素」を購入するケースが増えています。これは、高コストになりがちな社内構築と、カスタマイズ性や柔軟性の低い既製ソリューションの間の理想的な中間点となります。
顧客データの管理方法を一意に指示するソリューションは、多くの企業で望まれないでしょう。結局のところ、イノベーション、成長、そして優れた顧客体験は、独自のビジネスニーズを満たす方法でインフラの構成要素を組み立てることから生まれます。
英国の大手金融テクノロジー企業であるClearScore社は、この問題を正しく解決した素晴らしい例です。ClearScore社は、自社開発のソリューションをTwilio Segmentに切り替えることで、3倍のコスト削減を実現するとともに、エンジニアリングリソースの25%を社内システムの継続的な拡張や維持管理ではなく、イノベーションに充てることができました。(ClearScore社のケーススタディ全文はこちら(英語)からご覧いただけます。)
今日の最も革新的な企業は、オールインワンのSaaSスイートを購入するのではなく、インフラの構成要素に投資し、構成要素を活用したシステムを開発者がビルドし、パーソナライゼーションと成長を促進していく方向に向かっています。
CDPをビルドするための構成要素〜Twilio Segment Developer Toolkit
顧客エンゲージメントは、何年も前からマーテック業界のバズワードとなっています。ウェブサイトやアプリ、メール、広告などで顧客が体験することを総称しています。
すべての企業は、ブランドと関わろうとするユーザーを求めています。そして、よりパーソナライズされた関連性の高い体験を提供することで、顧客エンゲージメントは急上昇します。そのため、マーテックツールが爆発的に増加し、その結果、すべての企業のデータインフラが複雑化し、開発者によるサポートが必要になっています。開発者は、マーテックの統合管理に何時間も費やすことを余儀なくされ、より重要な仕事に時間を割けなくなっています。フォレスター社によると、マーテックのユーザー企業の45%が、現在の環境は複雑すぎると認識しています。
では、この複雑さをどのように乗り越えればよいのでしょうか。Twilio Segmentでは、エンゲージメントの課題を解決するためには、データ関連の中核課題を解決することが重要であると当初から考えていました。
デベロッパーツールキットは、信頼性の高い安全なファーストパーティデータを、チームが必要とする場所に接続・ルーティングするために必要な構成要素を提供します。デベロッパーツールキットは、Twilio Segmentプラットフォームのカスタマイズや拡張に必要なツールを提供するため、開発者は以下のようなカスタム構成をサポートすることができます。
- データ収集を効率化 - 最もパフォーマンスの高いデータソースを使用することで、分析インフラの設定にかかる時間を短縮し、アプリやWebサイトのパフォーマンスを向上させることができます。最新のライブラリ、SDK、サーバーサイドソースにアクセスし、企業が使用するすべてのアプリ、Webサイト、クラウドSaaSプラットフォームのデータ収集を簡素化します。(TwilioおよびTwilio SendGrid固有のクラウドソースも含まれます。)
- データ統合のカスタマイズと拡張 - あらかじめ用意されている統合機能を利用することもできますし、新たに独自の統合機能を構築することもできます。いずれにしても、チームが必要とするツールやプラットフォーム上でのデータ統合方法をカスタマイズ・コントロールすることができます。
- データインフラを容易に拡張 - 企業の成長や新たな要件の導入に合わせて簡単に拡張できる、柔軟で拡張性の高いソリューションを利用することで、データインフラの将来性を高めることができます。
(↑ データ操作に係る ”収集”, “処理”, “集約”, “活性化” の各段階においてデベロッパーツールキットが果たし得る役割が図中中段の深緑色の帯部分に記載されています)
デベロッパーツールキットに新たな機能を追加
Twilio Segmentは、常に開発者の仕事を楽にするためのツールを提供してきました。創業時にAnalytics.jsライブラリのオープンソース化を決定して以来、さまざまな利用シナリオ向けに顧客データを一元管理する強固なプラットフォームへと進化してきました。
なかでも、データの収集と統合をより柔軟で拡張性の高いものにするために、いくつかの新機能をリリースしました。デベロッパーツールキットには以下が含まれます。
- Analytics.js 2.0 - 新しいAPIを学習、テスト、実装することなく、ウェブサイトの顧客データを追跡するパワフルでシンプルな方法です。Analytics.js 2.0は、パフォーマンス、データの観測性、そして開発者のユーザ体験を向上させるために、ゼロから再設計されました。
- Analytics.js 2.0のバッチ処理 - Analytics.js 2.0ライブラリのアップデートにより、イベントをバッチ処理で送信できるようになりました。イベントをバッチ処理することで、リクエスト数を大幅に減らしてアプリケーションの性能を向上させたり、1回のリクエストで複数イベントを配信することでAPIコールを少なくしたり、再試行自体もバッチ処理されることからエラー発生時のノイズ軽減が可能となります。
- SwiftとKotlinのライブラリ - Analytics SwiftとAnalytics Kotlinライブラリは、モバイルアプリに簡素でモダンなインストルメンテーション体験(稼働計測系)を提供します。両ライブラリとも、パフォーマンス、データの観測性、開発者の全体的なユーザ体験が大幅に向上しています。これらの新しいライブラリは現在パイロットリリース*版です。
* ベータリリースの前段階です。
- 配信先アクション - デスティネーション(配信先)アクションでは、データを特定の配信先にマッピングする方法をより細かく制御することができます。Twilio Segment UIの中でカスタムアクションを編成したり既定アクションを調整することで、ユーザーのオーディエンスへの追加、ユーザープロフィールの作成・更新、ブロードキャストキャンペーンの開始など、配信先に係る特定の振る舞いをトリガーすることができます。この機能は現在パブリックベータ版です。
- 配信先のマルチインスタンス化 - 複数のチームやユースケースをサポートするように配信先をカスタマイズすることで、より迅速な作業が可能になります。この機能では、同じデータを複数の配信先インスタンスに転送できます。これは、複数のチームをサポートする必要がある場合や、配信先をあるインスタンスから別のインスタンスにデータを失うことなく移行する必要がある場合に特に有効です。
今回新たに追加された上記機能は、Twilio Segmentプラットフォーム上で既に利用可能な、広範な機能リスト(以下)に追加されるものです。
- データの収集 - Webサイト、モバイルアプリ、社内ツールでのデータ収集を実装することは、CDPの中核を成す要素です。Segmentには、Web、モバイル、クラウド、サーバーなど、あらゆるソースからデータを収集するための40以上のビルド済みライブラリが用意されているので、REST APIの操作にじっくり時間をかける必要はありません。さらに、DebuggerやEvent Deliveryなどのツールキット機能により、業界最高のデータ観測性を実現するとともに、Source Functionsにより、アウトバウンドのWebhookをサポートするあらゆる上流側ツールやサービスからデータを取り込むことができます。
- データの処理 - データはいつもクリーンで構造化されているとは限りません。サードパーティのAPI、JSON blob、半構造化テキストを扱ったことがある人なら誰でも知っているように、知見の抽出やデータ駆動形の意思決定を進めることよりも、ほとんどの時間はデータのクレンジングに費やされています。Twilio Segmentでは、数百万人のユーザーのGDPRデータ抑制に対応し、個々のイベントを変換・整形し、再送リクエストがあったとしても自動的に重複排除して、データをクリーンかつ正確に保つことが可能なデータインフラおよびツールを利用することができます。
- データの集約 - 個々のイベントだけでは、ユーザーのすべてを語ることはできません。そのためには、すべてのデータを1つのプロフィールにまとめる必要があります。多くのシステムでは、ここで拡張性の限界に直面します。毎秒何万ものイベントを処理する必要があるだけでなく、そのデータを単一のパーティションにルーティングする必要があります。Twilio Segmentは、ミリ秒単位の参照、毎秒数千回のクエリ、リアルタイムおよび過去のユーザープロフィールの計算など、チームが自分たちで設定しようとすると何ヶ月も、あるいは何年もかかるような重い作業を行います。さらに、Configurable Identity GraphやProfile APIなどの機能により、顧客プロフィールの作成と利用をコントロールすることができます。
- データのアクティベーション - データが一箇所に集まったら、最後のステップとして、そのデータを使用する必要があります。それは、データを様々な消費者やエンドツールに届けることです。Twilio Segmentには、エンドツールへのデータ配信をコントロールするための様々な機能が用意されています。その中には、400以上のビルド済みの配信先、ウェアハウス、データレイクや、独自の配信先を構築できるDestination Functionsがあります。
デベロッパーツールキットの活用
証券取引所での個人トレーダー向け投資を自動化するテクノロジー企業であるSmarttBot社は、新しい収益促進プログラムを迅速に構築するためにデベロッパーツールキットを活用しました。SmarttBot社のチームは、Functionsを使用して、アプリの上にカスタムワークフロー、プロダクト機能、高度なマーケティングキャンペーンを迅速に構築しました。これにより、開発者の生産性を最大限に高めながら、新たな収益源を確保することができました。(ケーススタディの詳細はこちら(英語)をご確認ください。)
Twilio Segmentの使用方法
アプリケーションやパッケージソフトウェアは、時間の節約を約束してくれますが、多くの場合、予期しない開発要件の発生に伴い想定以上の費用が掛かり、開発者の本業から何時間も貴重な時間を奪ってしまいます。また、ほとんどのソリューションには限界があり、各企業独自のビジネスやデータニーズを満たすためには、面倒な作業が必要となります。
デベロッパーツールキットは、Twilio Segmentプラットフォームを拡張するために必要なツールを提供し、データ収集の効率化、必要に応じた統合のカスタマイズ、データインフラの容易な拡張といった機能を提供するなかで、お客様独自の業務課題の解決を図ります。
デベロッパーツールキットは、Twilio Segmentのすべてのお客様にご利用いただけます。Twilio Segmentデベロッパーツールキットに含まれているもの(+どの開発者でも利用可能なオープンソースツール)については、こちらをご確認ください。
カスタムデータインフラの構築を開始するには、こちらから無料アカウントにサインアップし(開発者向けに新たに用意されたTwilio Segmentのアカウントプランです)、ぜひ個別のデモをリクエストください!
This content originally appeared on Twilio Blog and was authored by Doug Roberge
Doug Roberge | Sciencx (2021-09-11T03:30:41+00:00) CDPをテイラーメードに使うためのツールキット〜Twilio Segment Developer Toolkit. Retrieved from https://www.scien.cx/2021/09/11/cdp%e3%82%92%e3%83%86%e3%82%a4%e3%83%a9%e3%83%bc%e3%83%a1%e3%83%bc%e3%83%89%e3%81%ab%e4%bd%bf%e3%81%86%e3%81%9f%e3%82%81%e3%81%ae%e3%83%84%e3%83%bc%e3%83%ab%e3%82%ad%e3%83%83%e3%83%88%e3%80%9ctwilio-s/
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